ポケットには47円

心の中を書きます。

豹のすすめ

近頃、わたくしの中で「豹ブーム」が来ております。

豹のあのスマートさからにじみ出る凶暴さと、時折見せるネコ科らしい愛くるしさがたまらないのです。そこで今日は豹の登場する作品のお話です。

Kilimanjaro is a snow-covered mountain 19,710 feet high, and is said to be the highest mountain in Africa. Its western summit is called the Masai "Ngaje Ngai," the House of God. Close to the western summit there is the dried and frozen carcass of a leopard. No one has explained what the leopard was seeking at that altitude.

(雪に覆われたキリマンジャロの西の頂上は神の家と呼ばれていて、そしてその頂上付近には豹の凍った死体がある。そんなところでその豹が何をしてたのか誰もわからない。)

という書き出しで始まる『キリマンジャロの雪』は、1936年に発表された有名なアーネスト・ヘミングウェイの短編。この豹が何をしていたのか、作中で示されることはありません。また作品冒頭の豹が、この作品本編の内容とどう結びついていくのかも具体的には示されず、読者の想像に任されているのです。

 久々に読んでみたら、とっても面白かった。死が近づく主人公の周辺にハゲタカが集まる描写なんかは、本来は目には見えない死の存在が、死神のように具現化されていて実に生々しく、自然の中での人間の無力さを感じます。他にもいろいろ話したいことはあるけれど、ネタバレするのは嫌なので、控えめに。豹の登場するのは本当に少しなのだけれども、それでも作品全体に影響を与えています。ヒョウって素敵。

 

本は嫌だ、というお方は映画を。『LIFE!』(2013)です。

ベン・スティラーが監督と主演を務めた映画で、原作は1939年に発表されたジェームズ・サーバーの短編小説'The Secret Life of Walter Mitty'(邦題『虹をつかむ男』)です。奇しくもキリマンジャロの雪と同時代です。あぁロストジェネレーション万歳。まぁ、それはいいとして(笑) この作品でも豹が登場するのは、ほんの少しですが、大きなメッセージが込められているように感じました。映画全体もテンポよく、爽快感のある出来になっているので、是非。ヒョウって素敵。

 

豹の登場する作品とかいって意気込んだのはいいけれど、大して作品も見つからなかったので、今日はここら辺で(笑)。とはいえ、この二つの作品は本当にイチオシなので、豹が好きな人も、そうじゃない人も是非楽しんでもらえればと思います。

 

 

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)