ポケットには47円

心の中を書きます。

女を殴る男

夜な夜な街に繰り出しては女たちを捕まえて、関係を持ってる男がいるんだけど、彼は女たちを殴る。

男たちの前ではちょっとシニカルでユーモラスな男なんだけど、女といるとなると話は別。もはや嫌悪なんて言葉は無意味、そんな感情は軽く突き抜けるほどの悪漢っぷりで、それはそれは女を殴る。気に入らなければ、すぐに殴る。あんまり殴るもんだから、「お前は何故そんなにも女を殴るのか」って聞いたことがあったんだけど、「嫌いだから」って。嫌いなら近づかなきゃいいだろうって話なんだけど、「いくら嫌いだって、セックスはしたい」と。

彼にとって夜な夜な街にいるような女たちは女でなくて、ファックマシーンなんだそうだ。ところがコトが済めば、それはやっぱり女で、彼の怒りはたちまち膨らんでいく。そりゃそうだ、彼は女が嫌いなんだから。酒が入れば男を求めるだけのファックマシーンでも、酔いが覚めれば当然一人の女だ。死ぬまでファックマシーンとしてラリってりゃいいのに、コトが終われば自分の魅力に自信を持った振る舞い。どうしても彼には許せない。彼は力いっぱい女を殴る。

彼は最低な男なんだと思う。けれども、自分自身が最低な人間だと自覚しているだけ、まだマシなのかもしれない。世の中には自分自身がどうしようもなく最低でも、そうだと自覚していない人たちの方が多い。