ポケットには47円

心の中を書きます。

だぶるをろっくで。

 

「あの子がより一層綺麗になるところを、僕は一番近くで、誰よりも近くで見たんだ。」

 

そう興奮気味に素晴らしい経験を語る友人を見て、僕は「友人がいつか繰り返される素晴らしい経験に打ちのめされて、パンチドランカーになってしまうんじゃないか」と心配をしながら、話を聞き続けました。

 

彼の話を聞けば聞くほど、先の心配は大きくなって、それによって僕の目がおかしくなったのか、それとも彼が本当にパンチドランカーになったのか、彼が自制心を失ったように見えました。

 

彼はその素晴らしい経験にとりつかれ、打ちのめされ、そうして自制心を失い、また打ちのめされるような素晴らしい経験を求めているようでした。

 

人生とは実に悲しく儚いものだと、僕はそう思いながら、終わりの見えない彼の話を聞き続けるのでした。