ポケットには47円

心の中を書きます。

すべての道はナポリに通ず。

 先日銀座へお出かけしたんですが、銀座でお昼を食べるならってことで数年前から目をつけていたお店に行ってみることにしたんです。

 こじんまりとしたお店だったので入れるかどうか不安だったのですが、お昼のピーク時間は過ぎていたので、着いてみるとお客さんは数組程度、これ幸いってことで入ってみたんです。ずっと行ってみたいと思っていたお店でしたから、何を食べようかなぁと迷ってしまったんですが、そこはイタリアンのお店で、数量限定ランチのラザニアがまだ残っているということで、迷わずラザニアを注文。ここのところすごくイタリアンが食べたくて、ラザニアが夢にまで出てきていたんです。秋だしポルチーニなんかも食べたかったけど、やっぱりラザニアが一番なのです。

 出てきたラザニアを食べてみるとアツアツで、とろけるチーズとソースがなんとも言えない美味しさだし、お店の雰囲気もお洒落でかわいいしで、「いいとこ選んだでしょ」なんて自分のチョイスを自画自賛していると、ふと気づいたんです。はて、自分の行きたい店はイタリアンだったのか、と。確かにお店の場所は間違いないんです。とても分かりやすいところにあるし、周囲に他のお店があるわけでもない。そこで僕がいつもつけている「行きたいお店メモ」を見てみたんです。すると「〇〇〇 スペイン料理店」って書いてあるわけですよ。おいおいおい、と(笑)。僕がいままさに食べているのはラザニア、正真正銘のイタリア料理です。こいつは参った。「そういえば、行きたかったあの店には美味しそうな肉料理があって、あれが食べたかったんだったな」とか何故に今更ってことがどんどん思い出されてきて、調べてみると、同じ場所にあったスペイン料理店は残念ながら少し前に閉店していたのです。

 いいお店選んだでしょなんて言ってしまった手前、「えへへ」とごまかすことしかできなかった僕は、苦し紛れに「ほら、あれだよ。すべての道はローマに続くってやつ」と言ってみたものの「ラザニアはナポリ名物だよ」と、あっけなく返されてしまうのでした。ぐぬぬ、でもそういう気の利いた返しは嫌いではない。僕の新たなスペイン料理店探しがこうして幕を開けましたとさ。